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(1)JCOG0403の話題

 

 JCOG0403は、T1N0M0 非小細胞肺癌に対する標準手術可能例、標準手術不能例それぞれに対する体幹部定位放射線治療の有効性と安全性を評価する第 II 相試験です。

 第 II 相試験なので、治療の安全性、用法(投与の仕方:投与回数、投与期間、投与間隔など)、用量(最も効果的な投与量)を調べる治験です。

 手術可能例と切除不能例に分けて、肺がんの定位放射線治療を行っています。

 

 肺がんの局所の腫瘍に対して照射している放射線の線量が今までより増加している治療法です。局所に集中することで従来の放射線治療と比べてよい成績になったと考えられます。

 

 右のグラフが生存率曲線で、白丸の上のラインが手術可能であるが、高齢や他の疾患のために定位放射線治療を行った患者さんの成績です。黒丸は手術不能の肺がん患者さんを定位放射線治療を行ったものです。

 5年の60ヶ月を過ぎてもいい成績です。

 

 手術と比較した治験ではないので、手術と放射線治療のどちらがいいかという比較はできません。

Figure 4. Overall survival curves are shown for patients with operable disease (open circles) and inoperable disease (filled circles; P = .080). SBRT indicates stereotactic body radiotherapy.

予定登録数:167例(臨床的手術可能例65例  臨床的手術不能例100例

(2)切除可能 I期非小細胞肺癌に対する定位放射線治療と肺葉切除術の無作為化比較試験2件の統合解析

 

Stereotactic ablative radiotherapy versus lobectomy for operable stage I non-small-cell lung cancer: a pooled analysis of two randomised trials

 

Chang JY, Senan S, Paul MA, et al.

Lancet Oncol 2015; 16: 630-37

 

 本論文は, 手術可能 I 期非小細胞肺癌に対して, 定位照射と手術を比較した無作為化比較試験の初めてのpooled analysisである。

 

☆ 局所制御率や生存率が放射線治療と手術は同等.

 

小規模なサンプルサイズと短い経過観察期間ではあるが, 無作為化比較試験での結果は価値がある。

 

 観察期間の中央値は, 定位照射群 40.2か月 (23.0-47.3), 手術群 35.4か月 (18.9-40.7) であった.3年 OSは定位照射群 95% (95%CI 85-100), 手術群 79% (95%CI 64-97), p=0.037, HR 0.14, 95%CI 0.017-1.190. 3年の局所再発率, 領域内再発率, 遠隔転移率はいずれも群間差を認めなかった.3年無再発生存率は定位照射群 86% (95%CI 74-100), 手術群 80% (65-97%), HR 0.69, 95%CI 0.21-2.29, p=0.54.

 

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